漢方薬の保管と効き目
漢方材料の加工処理-単純なものから焙ったり焼いたりしたものを保管して使用するまでの保存期間に、虫食い、かび、変色、風味が消える、風化、酸化等で品質が劣化するのを抑えなければいけない

温度	薬材は20-３５℃虫やかび菌が容易に繁殖しやすい ３５℃以上では脂肪分を含む薬物が熱で油分解してしまうし、揮発油成分は散失し匂い成分が飛んでしまう 動植物の膠(ニカワ)や樹脂は発散し、粘っこいものは硬くなってしまう
湿度	一般に漢方薬は１０-２０%の水分を含む　空気中に水蒸気が多いと薬物は湿ってカビっぽくなり変形してしまう
空気	酸化は最もなりやすい化学変化で品質を劣化させる　柔らかさ、脂質、糖質等が酸化して変質変色してしまう
日光	日光が薬材の色素や葉緑素を破壊してしまう　紅色や緑色の薬材は太陽に晒してはいけない

貯蔵方法	特性	該当薬材
アルコール貯蔵法	アルコールは辛散揮発性と殺菌作用があり高糖量、高油脂、乾燥し難くて、硬い粘っこい呑み込み物 薬材を虫やかびから守る　　　二種類ある ①噴き付け法　アルコールを直接薬材や容器の内側に吹き付け、密閉保存するもの ②瓶詰め法　薬材を容器の底に置き、アルコールを満杯にして、瓶の口をガーゼで縛る　または蓋で容器を密閉	油脂類： 柏子仁、鬱李仁杏仁、桃仁、 高糖質類： 枸杞子、党参、黄精、熟地、大枣、黄芪 動物類： 鳥梢蛇、地龍、地鳖虫、白花蛇
埋蔵貯蔵法	保存薬材の容器の底に吸湿剤をいれる　生石灰、木炭、草木灰等 現在では酸化カルシウム、珪藻等を使用 保存薬材の湿気や揮発性をとり、虫やかび、変色を防止する 注意 薬材の如何にかかわらず、薬材は紙やビニール袋で包み、容器を密閉、日陰の涼しい乾燥した場所に置く事	黄芪、三七、天麻、紅花、冬虫夏草等
薬性組合貯蔵法	両種類の薬物を利用して一緒に貯蔵する事で特殊な気味を発生する事で虫やかびが付くのを防止する 容器密閉	丹皮、泽泻、山薬 全虫、海馬、花椒、細辛 冰片、燈心草 棚砂、緑豆 陳皮、高良姜 麝香、当帰、、
密封貯蔵法	罐、櫃(箱たんす)、壇(台)、鉄桶、瓶等の密封性能高い新素材の容器 注意 ①ビニールシートで薬材を１キロ、２キロ単位で梱包しておく ②梱包前に薬材の乾燥状態、水分(7-13%) を調べておく　虫食いやかび状態をチェック	高糖量の党参、当帰 蜜焙品の灸甘草、灸紫宛
低温冷蔵貯蔵法	虫やかび予防のために　低温(0-10℃)で保存	貴重な薬材、熱で変質しやすい焙ったもの 西洋人参、虫草等は冷蔵庫保存がよい